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起業初心者ガイド:事業計画と資金調達、いつ何をすればいい?ゼロからわかる準備の段取り

Tags: 起業準備, 資金調達, 事業計画, 初心者, ステップ

起業や独立を目指す際、「事業計画と資金調達、どちらを先に考えれば良いのだろう?」「何から手をつければ良いか分からない」と悩む方は少なくありません。特に初めての起業では、その全体像が掴みにくく、不安を感じることもあるでしょう。

事業計画と資金調達は、起業という旅においてまさに両輪となる要素です。どちらか一方だけを進めても、スムーズに前に進むことは難しいのが現実です。これらは互いに密接に関係しており、並行して、かつ計画的に進めることが成功への鍵となります。

この記事では、起業経験がない方でも「いつ、何をすれば良いのか」が具体的に分かるよう、事業計画の策定と資金調達の準備を並行して進めるための具体的なステップを、ゼロから分かりやすく解説します。このガイドを通じて、あなたの起業準備が計画的に進み、成功への道筋が見えてくることを願っています。

なぜ事業計画と資金調達は並行して進めるべきなのか

事業計画は、あなたのアイデアやビジョンを具体的なビジネスの形にするための設計図です。「どのような事業を」「誰に」「どのように提供し」「どう収益を上げるか」といった、事業の根幹となる部分を明確にします。

一方、資金調達は、その設計図を実行するためのエネルギー源です。事業を始めるには、オフィスの準備費用、設備投資、仕入れ費用、当面の運転資金など、様々な費用が必要になります。これらの費用をどのように集めるかを考えるのが資金調達です。

これらがなぜ並行して必要かというと、事業計画の内容によって必要となる資金の額や種類が決まり、逆に、調達できる資金の額や種類によって、事業計画の実現可能性や規模が変わってくるからです。

例えば、描いている事業計画を実行するには1,000万円が必要だが、現実的に調達できるのが500万円であれば、計画の見直しが必要になります。また、融資を受けるためには信頼性の高い事業計画書が必須となります。このように、両者は常に連携しているのです。

最初に資金調達の方法だけを調べて「いくら集められるか」だけを知っても、使い道である事業計画が曖昧では前に進めません。逆に、素晴らしい事業計画ができても、資金調達の方法を知らずに絵に描いた餅になってしまっては意味がありません。

ゼロから始める起業準備:事業計画と資金調達を並行するステップ

ここでは、起業準備をゼロから始める方が、事業計画と資金調達を効率的に、かつ無理なく並行して進めるための具体的な段取りをステップ形式でご紹介します。

ステップ1:事業アイデアの具体化と必要資金の概算

まず最初に行うべきは、あなたの事業アイデアをもう少し具体的に掘り下げることです。

この段階では、まだ詳細な事業計画書を作成する必要はありません。大切なのは、事業の核となる部分をあなた自身が明確に理解することです。

同時に、この事業アイデアを実行するために「ざっくりと、どれくらいの資金が必要になりそうか」を考え始めます。例えば、店舗を構えるなら家賃や内装費、オンラインサービスならシステム開発費、商品を扱うなら仕入れ費など、思いつく初期費用や当面の運転資金をリストアップしてみましょう。

この時点での金額はあくまで「概算」で構いません。大切なのは、事業のイメージと必要な資金規模のおおよそを把握することです。

ステップ2:資金調達方法の候補洗い出しと情報収集

事業アイデアと資金ニーズの概算が見えてきたら、次に資金調達方法について情報収集を始めます。

主な資金調達方法には以下のようなものがあります。

これらの方法について、それぞれの特徴(メリット・デメリット)、申請要件、必要な準備、調達までにかかる期間などを調べます。特に、創業期の起業家が多く利用するのが、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会付きの融資です。これらは比較的利用しやすく、情報も豊富にあります。

この段階で、あなたの事業アイデア、必要資金の概算、そして自身の状況(準備できる自己資金の額など)を考慮し、「どの資金調達方法が自分に合いそうか」の候補をいくつか絞り込みます。

例えば、「自己資金が少ないから融資を検討したい」「特定の分野の事業だから補助金がないか調べてみたい」といったように、大まかな方向性を定めます。

ステップ3:事業計画の具体化と資金計画への落とし込み

資金調達方法の候補が絞れたら、今度は事業計画をより具体的に深掘りしていく作業に戻ります。特に、資金調達を意識した計画策定が重要になります。

この収益計画・費用計画を通じて、ステップ1で概算した必要資金をより正確に計算し直します。初期費用だけでなく、事業が軌道に乗るまでの数ヶ月分の運転資金も忘れずに計算することが大切です。

資金調達候補が融資であれば、この段階で金融機関が求める形式(事業計画書など)に合わせて情報を整理し始めます。金融機関は「返済が可能か」を重視するため、収益性や費用の根拠、資金繰りの見通しなどを具体的に示す必要があります。この具体性が、資金調達の可能性を高めます。

公的な補助金や助成金を検討している場合も、申請書には詳細な事業計画と資金計画の記載が求められます。

ステップ4:資金調達の具体的な準備と事業計画の最終調整

事業計画がある程度固まり、必要な資金が明確になったら、いよいよ資金調達に向けた具体的な準備を進めます。

資金調達の準備を進める中で、新たな情報(融資の条件、補助金の要件など)が得られることもあります。それに合わせて、事業計画や資金計画を微修正することも必要になる場合があります。

例えば、融資面談で「〇〇の費用が高すぎるのではないか」と指摘を受けたり、補助金の対象経費に制限があったりした場合、資金計画やそれに紐づく事業計画の一部を見直す必要が出てきます。これは決してネガティブなことではなく、計画の精度を高める良い機会と捉えましょう。

ステップ5:資金調達の実行と事業開始、そして資金繰り管理

資金調達の準備が整ったら、いよいよ申請や募集開始といった「実行」の段階です。融資であれば審査を受け、承認されれば借入となります。補助金であれば採択審査の結果を待ちます。クラウドファンディングであれば募集期間を通じて資金を集めます。

資金が無事調達できたら、いよいよ計画に基づいた事業の開始、または推進段階に入ります。

ここで重要なのが、「資金繰り管理」です。事業計画通りに売上が上がり、費用が発生しているかを常に把握し、資金がいつ、どれだけ入ってきて、いつ、どれだけ出ていくのかを管理します。

具体的には、売上や経費を日々記録し、資金の出入りを予測する「資金繰り表」を作成・確認します。事業計画書に記載した予測と実際のズレを早期に発見し、必要に応じて事業計画や資金計画を見直すことが、資金ショートを防ぎ、事業を継続・成長させるために不可欠です。

事業計画は一度作ったら終わりではありません。事業の進捗や外部環境の変化に合わせて、定期的に見直し、資金繰り計画と連動させていくことが、長期的な成功につながります。

まとめ:計画的に進めることが不安を和らげる第一歩

起業準備における事業計画と資金調達は、密接に関連し合う重要なプロセスです。「いつ、何をすれば良いか分からない」という不安は、この全体像が見えにくいことから生じることが多いでしょう。

今回ご紹介したステップのように、事業アイデアの具体化から始め、資金ニーズを洗い出し、適切な資金調達方法を検討し、それらを基に事業計画を具体化していくという流れを、一つずつ、そして並行して進めることで、やるべきことが明確になり、不安を軽減することができます。

最初から完璧な計画を目指す必要はありません。まずは「ざっくり」から始め、情報を集め、具体化していく過程で計画の精度を高めていけば良いのです。

この記事で紹介したステップが、あなたの起業準備を計画的に進めるための一助となれば幸いです。まずは一歩踏み出し、あなたのアイデアを形にする準備を始めてみましょう。